賃貸物件におけるバリアフリー設備の実状について
高齢化が進む現代社会においてバリアフリー設備は住まいを選ぶ際の重要なポイントと言えます。賃貸住宅ではバリアフリー設備の有無が入居率を左右すると言っても過言ではありません。高齢者でも快適に利用できるよう、リフォーム工事を行う賃貸物件も増加しています。一方でバリアフリー設備が居住性を損なうケースも少なくありません。
これは多くの場合、素人考えによる安易なリフォーム工事が原因です。体を支える手すりの設置や転倒の原因にある段差の解消が賃貸物件におけるバリアフリー化の基本的な内容ですが、入居者の体の大きさや歩幅などを考慮しなければ快適に利用することはできません。また、設備の強度が足りず、体を支えきれずに破損する可能性もあることから、専門業者による入念な計画が必須と言えるでしょう。建物の大きさを考慮せずに設備を導入したため、移動すら困難になるケースもあります。
そのため、素人考えによるリフォーム工事はデメリットが大きいと言わざるを得ません。賃貸物件は数年から十数年程度の期間ごとに入居者が変わるケースが多数なので、入居者に最適なバリアフリー設備を整えるには頻繁にリフォーム工事を行う必要が生じます。リフォーム工事は金銭の負担が大きいため、物件によっては設備を導入しないこともあります。体を自由に動かすことが難しい高齢者でも快適に生活できるのが魅力的なポイントですが、反面、すべての人にとって住み心地が良いとは限らず、家主の金銭的な負担が大きい事実は無視できません。